女性大工が親方になるまで
プロフィール
ユキエさん
ユキエさんは小学生時代に見た大工の姿に憧れて、技術専門校卒業後に大工になった。7年経った今、既に「親方」として何棟かの新築工事を担当している。その彼女自身は、何人もの親方衆に指導を受けてきた。建設現場が変わるごとに30代から40代の異なる社員大工の下で働いてきたからだ。よく怒られたと話す。
最初の頃はどうしてもあるんですよ。言われたことを間違ってやっちゃったり、過去にやったのと同じミスを繰り返したり。それに道具の扱いに慣れていないから、どうしても危ない使い方をしちゃったり。
いいえ。どちらかと言うと『思っていた通り難しい』ですかね。だけど、難しくても、やっぱりやり甲斐はありますね。完成した家を見たりするとじわっときますね。帰り道にわざわざ遠回りをして自分の手掛けた家の前を通ったりして。その家に明かりが灯っていたりするとうわーってなりますね。
入社5年経った頃に、社長から『1軒やってみろ』って図面を渡されて。『この現場、親方は誰ですか』と聞いたら『おめえだわ』って。ビックリというか、パニックになりました。
私の場合、まだまだ先読みが下手なので、すぐに『あ、やばい』ってなっちゃう。まわりの先輩たちは、もっと心にゆとりがある感じです。翌日だったり、もっと先のことを読んでいたり。それが毎日大変で。先輩から『お前はテンパるから駄目なんだよ』ってよく言われるんですが、大体帰宅する前に脳みそがショートする感じで。
まわりから見てカッコいいというか、汚らしく見えないように、服装も歩き方も道具の持ち方も気をつけています。いつも誰かから見られているという意識で動かなきゃ、という気持ちではいますね。現場の前を通りがかる近所のおばさん達から『ねえちゃんなのにカッコイイね、あんた』と言われたりすることもあります。
ものづくりの豊かさを多くの人に開いていくために
https://www.moderntimes.tv/articles/20220411-01/ 松村秀一、東京大学大学院工学系研究科特任教授