見習いを乗り越えて
-町で、家をつくる大工-
プロフィール
野村大工(大工歴38年)
私は大工になりたくて19才の時に叔父の下で大工の見習いを始めましたが、木工事でないプレハブ作業の家づくりでしたので、本格的な木造住宅を手掛けたいと思い木造大工の親方に弟入りをしました。最初の2年は「見て覚えろ」が基本で、見よう見まねでやり方を覚えました。1人で墨付け、手刻み、上棟まで数年で覚えましたが、独立して1棟目の上棟を任されたときは緊張して前日眠れなかったのを覚えています(笑)ちょっとした間違いはあったものの、やり終えた時の達成感は今まで味わったことのないものでした。現在手掛けている現場も、特殊な作業が必要なデザイン性のあるものなので、毎週建築家と打ち合わせをしながら進めています。特殊な現場も多いですが、難しい現場を任せてもらえることは、大工にとって技術を発揮するチャンスですから、大いにやりがいを感じます。我が家は、息子がいなく娘だけなので、後継者はいませんが大工仲間の息子さんを預かって大工仕事を教えています。若い人達に在来工法の技術、知恵を継承していくことも大切だと感じていますので、機会があればどんどん指導にあたりたいと思っています。